DBJ女性新ビジネスプランコンペティション
株式会社クラウドクリニック
代表取締役
東京都
DBJ女性起業大賞
在宅医療 支援サービス「クラウドクリニック」事業
クラウド技術を活用したアウトソースサービスによる
在宅医療の負担軽減と潜在医療職女性の有効活用
PROFILE
日本福祉大学社会福祉学部Ⅱ部卒業後、病院相談員として勤務。
2006年日本医療コンシェルジュ研究所で、医療コンシェルジュ資格認定制度・医師事務作業補助者研修の立ち上げ、運営を行う。
ダスキンヘルスケアに入社し、名古屋大学医学部附属病院共同研究員として医療コンシェルジュサービスを開発。日本医療コンシェルジュ研究所特別顧問。
2014年株式会社PLUS F創立。2015年株式会社クラウドクリニック創立。
第1回デジタルヘルスコネクトビジネスプランコンテストオーディエンス賞受賞。第2回女性起業チャレンジ制度グランプリ受賞。
超高齢化での医療費増大を背景に、大病院中心の医療から在宅医療への移行が求められるなか、一方で、自宅で最期を迎えたいと希望する人も増え、在宅医療の需要が拡大している。
父の死を通し在宅医療を知り、経験してきた大学病院での医師のサポートである医療コンシェルジュや医師事務作業補助業務での知識・教育ノウハウを活かし、在宅医療の課題解決のため、当社を創立。
多くの医師が在宅医療・看取りに携われるように、ひいては高い品質の在宅医療が提供でき、それが患者さんへのより良い診療につながるように、在宅医療の煩雑な事務作業を、遠隔オペレーションセンターで受託する。
業務の効率化で医師の負担軽減はもちろん、出産等で離職した医療有資格者の女性が活躍でき、キャリア形成が可能となり、働き方改革までも実現したいと取り組む。
すでに支援先医療機関を通してサポートした患者数は3500人を超える。
日本の在宅医療インフラへ
起業から3年が過ぎ、社員30名、オペレーションセンター2か所(東京、福岡)、契約するクリニックは20軒を数えるまでになった。だが、在宅医療の将来を考えると、この規模では増加するニーズに応えきれないことは明らかだ。そのため川島氏は今、事業規模の拡大に向けて準備を進めている。
「全国に1万5000の在宅療養支援診療所があるとされていますが、患者数が増え続ける中、在宅医療サービスの供給は追いついていません。今後、この状況はさらに悪化すると予想され、そこをどうフォローアップできるかが課題です」
さらに川島氏には、事業の拡大を通じて叶えたい目標があるという。それは、個人の診療情報を一元的に管理・保存できるパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)を実現することだ。
「本来、カルテ情報は患者さんのものであり、医師しか知らない診療情報があってはいけないのです。患者さんが自分の医療情報を把握し、それを関係者全員が共有することで患者さんを支え合うような世の中になって欲しい。そのためにPHRの実現が必要なのです」
「今では、この事業が私の人生の使命だと思うまでになりました」と力強く語る川島氏。その視線の先に見据えるのは、日本の在宅医療インフラとしてのクラウドクリニックだ。
2019年2月発行 季刊DBJ42号より抜粋